鉄鍋偏愛主義

我が家には、数年前にアメリカのサイトで見つけて購入した、1940年代に作られたアメリカ製のヴィンテージ・ダッチオーブンがある。
今はなきWAGNERというメーカーで、当時はかなりの大手だったようだ。
(裏面の"SIDNEY"は、オハイオ州にあった同社の所在地名)

1940年代のアメリカ製ダッチオーブン WAGNER

1940年代といえば第二次大戦の末期。
そんな時期にアメリカでは、一般大衆向けにこんなダッチオーブンが作られていたのだ。

 

第二次大戦末期~終戦直後から、アメリカのどこかの州の、どこかの家庭で、このダッチオーブンが愛用されていた。
ダイニングテーブルの中央に、アツアツ、出来たてのお料理がたっぷり入ったこのダッチオーブンがドーンと置かれている。中身はチリコンカン、クラムチャウダー、はたまたローストビーフか、フライドチキンか・・・・。

この鍋の回りに家族が集い、そして家族の憩いの食卓をこの鍋が担っていた。
鍋を囲んだファミリーに満面の笑みがこぼれていたであろう事は、想像に難くない。

 

そして数々の幸せな食卓を演出してきたこのダッチオーブンが、70年の時を越えて、アジアの片隅の島国にやってきた。使用者は、鉄鍋偏愛主義の男(笑)。

もちろん、ヴィンテージだからといって飾っておくようなことはしない。70年前の幸せなアメリカ家庭の食卓の情景を妄想しながら、この鉄鍋で料理を作るのはまさに至福の時間だ。

豚バラ先軟骨の煮込み

先日は2時間半かけて、豚バラ先軟骨の煮込みを作った。味付けは醤油とみりんの純和風。この鉄鍋も、アメリカ料理とのギャップに驚いているかもしれない(笑)。

 

70年以上経っても、バリバリの現役。しかも時代を経て、道具としての熟成した雰囲気をまとったこの鉄鍋は、今後も我が家の数多くの鉄鍋同様、美味しい料理と愉しい食卓をサポートしてくれるだろう。

 

「鉄は温かい。」

鉄鍋を造る鍛冶屋さん、鉄フライパンのメーカーさん、溶接加工者、鍛造刃物職人さん達から、幾度となくこの言葉を聞いた。

ステンレスやチタンなどとは違い、錆びやすく重たい鉄。しかし、いにしえから存在しているこの鉄という素材の魅力を、鉄からものづくりをしている人々はよく知っている。不器用だし、愛想はないが長くつきあっているとその魅力に取りつかれてしまうカワイイやつ、
といったところだろうか。

一生ものどころか、70年、100年、200年と時代と世代を超えて愛され続ける鉄鍋。偏愛してやまない魅力に溢れる鉄鍋。

鉄鍋偏愛主義、ぜひ一緒に

 

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